SE_LOGO STUDIO EQUIPMENT
スタジオイクイプメント
HOME 会社案内 業務案内 製品情報 輸入製品情報 技術資料 リンク MISC
 
サンフランシスコで開催されたAES2004へ行ってきました。

AES(Audio Engineers Society)は米国の音響技術者協会の略で、アナログの盛んな時代にはテープレコーダーの規格等に関しての提言や発言を行ってきたアカデミックな団体です。デジタルのAES/EBU規格でもおなじみです。本来コンベンション(技術者の大会)だったのですがメーカーの展示会がメインとなっています。技術発表会が会場の別室で行われていましたが、入場料が大変高く、そちらは入場を断念しました。
 業界の旧友たちが談笑して旧交を温めている姿があちこちで見られました。

 今回アナログ・ビンテージ風ニューマシンが多く展示されていました。
 Nautilus Master Technology DMC-8 モニター・コントローラー。A級ディスクリート回路で組んだマスタリング用モニター・コントローラーでモニターレベル、ディマーやミュート機能、モニターセレクター機能を持っています。小型のコントローラーによるリモート・コントロールも可能なようです。

 


 TUBE-TECHが真空管式のステレオで12チャンネルのミキサーを発表していました。各チャンネルのレベルコントローラーがなくてマスターのレベルコントローラーしか附属していません。不思議に思って尋ねてみるとDAWのデジタル領域でミックスすると音質があまりよくないので、アナログバスを使ってミックスを仕上げるために開発したそうです。レベルのコントロールはDAWのオートメーションを使用するため必要ないそうです。
 そう言えば日本でも「DAW上でミックスすると音が良くない」という声をよく耳にします。

 ビンテージマシンのコピーモデルもデモンストレーションしていました。Neve1073EQと自社のX73EQを同一セッティングにして、同一の効果が得られることをアピール。過大入力時の音の崩れ方もよく似ていました。

大変きれいに作られたマイク・プリとイコライザー。特にイコライザーの掛かり具合が大変素直でつまみの回す角度にきれいに比例していて途中から急激に代わるということが全くありません。自信のあるメーカーはこのように内部を公開して高品質な部品が使われていることをアピールしています。残念ながらメーカー名が分かりません。

 コンデンサー・マイクの特許が切れたのでしょうか、多数のマニュファクチャーがコンデンサー・マイクやチューブ・マイクを出品していました。いずれも1インチ程度の大型ダイヤフラムを使用しているのが主流のようで、しかも使われているダイヤフラムは同じメーカーOEMではないかと思われるほど似かよっていました。
 それぞれは経済的なプライスをアピールしていますが、内部回路を見ると非常にシンプルなタイプが多く、外来電波の飛び込みなどに対する対策がなされているのか、ちょっと心配になりました。日本ではインバーター機器の普及が進んでいるのでなおさらです。 しかし、これら多数の新参コンデンサー・マイクの中から、まじめに問題点を克復して定番モデルとして定着するコンデンサー・マイクも出てくるかも知れません。
 
 モガミ電線の米国代理店であるマーシャル・エレクトロニクスから出品されていたMX-2006コンデンサー・マイクロフォン。米国開発の製品にしては大変美しい金属加工の仕上がりを見せていました。 写真ではちょっと見にくいのですが、2006と印刷された下の部分にMogamiの文字が見えます。MIT(モガミ・インターナショナル)の平林社長が「あれ?いつのまに?私は知らんぞ!」と驚いていました。どうやらMogamiのブランド・イメージが高いので借用したみたいです。

何と、ノイマンのU87Aiをチューブ・マイクに改造するキットのデモンストレーション。日本では考えられないような事も平然と行われるのが米国流。

 求人や求職の掲示板がありました。もともと技術者が集まってできた団体であることが分かります。

 こちらは雑誌のサンプルが並べられているコーナー。すべて持ち帰り自由となっています。
 さすが米国です。日本よりはるか多数の音響関連雑誌が発行されているのが分かります。私は設備音響システムの施工に関する雑誌をゲット。

 レコーディング用アナログ・コンソールの出品は非常に少なく、SSLの他はトライデントぐらいしか気が付きませんでした。「コスト・パーフォマンスが高い新しいシリーズがリリースされた」と言ってました。
 外部のオペレーターや不特定多数のオペレーターが使用するには、コンソール上のスイッチや表示を見てすぐに理解ができるアナログコンソールがまだまだ有利だと思われるのですが。
 スイッチとボリュームのガリが克服されればアナログコンソールも復活するのではないでしょうか。

 スウェーデンの音響用トランス・メーカーLUNDAHLが出展していました。
 ローインピーダンス出力用のトランスを購入して当社でテストしたことがありますが、100kHz以上までf特が伸び、低域の歪率も低く、余りにも特性が良いので、「一次側と二次側がショートしているのではないか?」と疑ったほどです。
 工場や生産工程の写真を見せていかに一品一品ていねいに手作りしているかをアルバムの写真でアピールしていました。美人の女性は派遣のマネキン嬢ではなくてれっきとした社員です。

 こんな風にまったくの手作りで音響用トランスが製作されています。「小企業」「手作り」「少量生産」など今まであまり企業が表に出したくなかった情報を堂々と宣伝材料として使っています。経験と技術力の裏付けがあるからできるのでしょう。

 ベルクロ式ケーブル束線グッズのリップ・タイのブースで見た各社のオリジナル・ロゴ。日本の会社のロゴも何社か見かけました。

 デジタル・ミキシング・コンソール動作中にDSPカードを抜き差ししてみせるドイツのデジタルコンソールメーカーLAWO社のエンジニア。現在のデジタルコンソールはDSPパワーに余裕があるのでこのような技が使えるようになりました。一昔前までは考えられなかったのですが。 そう言えばSTAGETECやCALRECも動作中の基盤の抜き差しが保証されていますね。
 

 半導体メーカーであるアナログ・デバイス社のブースで、AD1940という28ビット192kHzまで対応のDSPチップを組み込んだ評価用ボードがデモンストレーションされていました。USB接続されたパソコンからCADでブロックダイヤグラムを描くようにフェーダーやパン、EQ、ダイナミクス、ミックスバスを配置することにより自由にシステムが組めるのです。Toolのリストを見ると業務用音響機器に必要と思われる機能はほぼすべて網羅されて用意されていました。アナログ・デバイス社はコンシュマー・ユースの利用を期待しているようですが、特注で音響機器を少量生産する分野にも活用が期待されると思われます。
 
 
20年ほど前ならデジタルで音響機器を製作することはそれこそ社運をかけての挑戦だったと思います。資金を使い果たして撤退したメーカーも少なくなかったのではないでしょうか。このシステムを目の当たりにするとデジタル機器に関して言うと、先進より後発の方が有利ではないかと思います。じっくり高性能なデバイスが開発されるのを待ってそれを利用してしまえば安価で確実なわけです。このようなデバイスが出現するとデジタル音響機器のさらなる過当競争が始まるのではないかと心配してしまいます。

 MACKIEのブースで見かけたDAW用モニター・コントローラーのBig Knob(ビッグ・ノブ)。
3系統の入力(1系統はフォノ)が選択できてDAT等にダビングでき、モニターのディマーやミュート機能があり、モニター・スピーカーも3種類まで選択できます。トーク・バック機能まで附属していました。自宅用に早速注文しました。これで昔のLPレコードをパソコンに取り込んでWaveファイルにファイル化しようと思っています。

 MSRという会社が出店していたSTUDIO PANEL。様々な用途のパネルを組み合わせて音響を調製するそうです。ユニークだったのがSpringTrapと呼ばれ低域吸収用トラップ。合板でできた振動板が振動して低域を吸収します。
ユニークだったのがSpringTrapと呼ばれ低域吸収用トラップ。合板でできた振動板が振動して低域を吸収します。
 

 大変に凝ったチューブ・リミッターです。ランプを用いたフォトカプラーでリミッターを動作させると鋭いアタック・タイムとリリース・タイムが得られないので、発光体に発光ダイオードを使用して 速い動特性を得ています。ランプ・ELパネル・発光ダイオードと3種類の発光体がスイッチで切り替えることができ、それによってリミッターの応答特性を選択することができます。
 A級動作させた真空管回路を採用しているので真空管とプレート抵抗からかなりの熱が発生していて蓋を閉めるとオーブン・トースターとなっていました。LANDAHLの出力トランスが見えています。

 何げなく展示されている製品も近づいて質問してみますと、そこには必ずユニークな設計者のアイデアや思い入れがこめられていました。大量生産品にはない熱意が感じられます。しかも技術的裏付けがあり理論的にも納得のいく手法を使って設計のアプローチが進められていました。
 アナログ機器なら設計者がいなくなってもこの世に存在することが可能なのですが、デジタル機器は設計者が他企業に引き抜かれるとと、それだけでそのデジタル機器は発展できなくなってしまいます。「確かに他人の作ったプログラムは解読が困難ですよね」とあるメーカーのデジタル機器開発担当者に話したら「自分の書いたプログラムも5年たったらわかりません」と言われてしまいました。
 AES2004を見て回ると小企業はアナログ機器で勝負してたのがよくわかりました。
 
 

[直前表示に戻る]


HOME 会社案内 業務案内 製品情報 輸入製品情報 技術資料 リンク MISC
(株)スタジオイクイプメント 〒154-0002 東京都世田谷区下馬5-2-10 PHONE:03-3795-3111/FAX:03-3795-3353