第20回 レコーディングエンジニア
石 光孝 (Mitsutaka Seki)氏
―この度は取材をお受け頂きありがとうございます。
今回石さんはC88を即決して頂き弊社としてもC88を広めていくうえで自信が持てました。ありがとうございました。
印象が良かったんですよ。2、3年くらい前からずっとスピーカーを探していて、いろんなデモ機を聴いてきました。
それで一番好きな音がC88でした。
―いままでの持ち運びしていたモニタースピーカーは?
KRKのV8です。
―使用期間は。
7年ほど使っていました。
―当時KRKは流行っていたんですか。
90年代はHIPHOP R&Bとかのシーンでローエンド感など皆さん評価が高かったです。Vシリーズの前の世代から流行っていたと思います。
―話は変わりますが。石さんはミキサーズラボ入社何年なのでしょう。
2006年入社です。
―ラボ入社前は?
ロサンゼルスのスタジオにいました。
―すごいですね。
―何かきっかけがあって海外へ?
学生時代にギターをやっていて将来は音楽業界でやっていけたら楽しいだろうなと思っていました。
そして高校時代に交換留学生制度で1年間アメリカに留学をし、その後アメリカの大学で音楽関係の専攻があることを知り、改めて渡米しました。
―専攻はエンジニアコース?
はい、そして卒業後に1年間の就労ビザを取得してロサンゼルスのスタジオで働きました。
―すごく貴重な経験ですね。素晴らしい。
―日本でエンジニアのキャリアをスタートしたのがミキサーズラボに入社してからですね。ラボといえばGenelecが基本にあって。
はい、僕がいたスタジオでもYAMAHA NS-10MとGenelec 1031は必ずありました。
―アメリカのスタジオは日本のスタジオとアコースティックな感じは違いがありますか。
僕がいたスタジオは「WESTLAKE STUDIO」というところで、アコースティック的にもデットなスタジオでした。
他のスタジオもデットな作りのところが多い印象でした。
ロンドンのスタジオは、メトロポリスとかエンジェルスタジオなど響きがあって日本に似ているなと感じます。アビーロードスタジオも日本人の豊島氏設計ですしね。
―そうですよね。確かに。
―改めてですが今のお仕事の幅はジャンルを問わず広くですね。
そうですね。有り難いことに。
―素晴らしい。
―スタジオにあるGenelecからKRKに出会うまでは?
当時の先輩がKRK V6を持っていて、それを譲って頂きました。周りからも早いうちに自分の好きなモニタースピーカーを決めたほうが良いよというアドバイスもありつつでした。
―KRK V6の魅力とは。
すごく高域も低域も伸びていて、パワーもありサウンドがアメリカンな印象なところですかね。
―そーなんですね。
Genelec 1031よりもドンシャリなイメージでした。
―そうだったんですね。
その後、尊敬するエンジニアさんがKRKのV8を使っていて。聴いたらV6よりもレンジが広く中域もよく聴こえて、好印象でした。なので見つけた時にすぐに購入しました。
―それでKSD C88にたどり着いたという感じですね。
KRK V8も良かったんですけど、僕が使っていたのも1994年製でもう修理が効かずにパーツもなかったので。現行機で良い物がないかと探していました。
―KSDを知ったきっかけは何だったのですか。
ちょうどスタジオにデモ機として来ていて。
他と比較試聴もしたりして、聴いた瞬間好印象でした。
世の中には良いスピーカーもたくさんありますが、違和感もあることもあり。
―その「違和感」とはどんなものですか。
高域がチリチリしすぎてるなあとか。低域がみえずらいなあとか。中域寄りだとか、低域の感じが遅い、速いとか、自分好みのスピーカーになかなか出会えなかったです。
―なるほど。
KSD C88は聴いた瞬間に相性を感じました。高域、低域の感じとか。デジタル的な感じが少ないのも好印象でした。
―そうですね。
DSP経由なのにアナログっぽい印象でした。
KRK V8は完全なアナログ回路だったので。
―よく言われます。デジタル臭さがないという意見がありますね。
だからとてもナチュラルに聴こえたのかもしれませんね。
―ご自身の作品などの印象からして。
いつもリファレンスで聴く曲や自分が関わった楽曲など違和感がなかったです。
―なるほど。
一緒に聴いていたクライアントさんも「良いじゃん!」って。
―見えやすくなったとかという印象でしょうか。
そうですね、一つ一つの楽器の輪郭が見えやすくなったとか。あと低域の感じが、決して速くはないんですけど、嘘っぽくないというか、普通にナチュラルに周波数が鳴っているという感じがあって。ラージスピーカーよりも低域があったのでびっくりしました。
―8インチですが口径以上に低域が豊かですね。
そうですね、かなり出ますね。
―そういうところが「いいね。」だったり「あれ?」だったりします。
人それぞれ好みでしょうね。このスピーカーは位相が良いので、低域の位相もものすごく良くて、僕は余計強く感じています。
―なるほどそうですよね。そのあたりをきちんとコントロールできているのがKSDなんですよね。FIRのテクノロジーですね。
位相の良さは凄く判ります。こうやってツイーターから離れても位相よく聴こえます。
―私はエンジニアでもなく単に販売側の立場の人間ですが位相が良いというのはとっても気持ちよく聴けるっていうか、音像がよくわかりやすいです。
そうですよね。不思議なのがスピーカーから離れていってもセンターのものが手前にいるので逆に違和感がある(笑)っていう感じです。
―同軸っていうのには最初違和感などありましたか。
KSDを初め知らないまま聴いて「あ、これ同軸だったんだ」って。だから位相がいいんだねって思いました。
―C88は仕事を選ばない。
大きなコントロールルームのレコーディングスタジオでも鳴らせるモニタースピーカーですし、リズム録りでも全然問題ない。
大きな音を出してもリミッターがかからず助かっています。
―そーなんですね。レコーディング作業もミックス作業もいける。
ドラムの音もよく録れます。良く聴こえるという。今鳴ってるのがどんな音なのか。バランスも良く、各パートの音決めして、一斉に出したときにKSD C88はすぐに決まり良い場合が多いですね。ドーンって鳴らした瞬間にバランスがとれている。
―単純に言えばちゃんとモニターできているという事ですね。
そうですね。モニターだけでもこんなに違うんだと思いました。
ミックスの仕上がりもすごく変わったと思います。
―クライアントさんも何かコメントしてきますか。
ミュージシャンの方もコントロールルームで一緒に聴くときに「いいスピーカーだね。」って言ってくれます。それだけでも十分助かっています。有り難いです。
―今回は貴重なご意見ありがとうございました。
<プロフィール>
石 光孝 (Mitsutaka Seki)氏
レコーディングエンジニア
1982年生まれ 神奈川県出身
Berklee College of Musicレコーディング科卒業
米国ロサンゼルス Westlake Studio勤務
日本へ帰国後、ミキサーズラボWEST SIDE・Warner studio勤務
その後フリーランスエンジニアとして、LAB recordersマネージメント契約にて活動中
【Work list】
財津和夫、布袋寅泰、今井美樹、V6、CODE-V、Swish!、ファンキー加藤、片桐舞子、Tiara、関ジャニ∞、つりビット、平原綾香、AKINO with bless4、伊藤かな恵、DEEP、SHE’S、Rev. from DVL、宮野真守、ORESAMA、安次嶺希和子、飯田圭織、水瀬 いのり、THE HOOPERS、YU-A、GILLE、大和悠河、I Don’t Like Mondays.、佐藤竹善、LOOKINGFOR、古澤剛、yukaDD(;´∀`)、Rude-α、Leola、ジャニーズWEST、AKARA、ZYUN.、OLDCODEX
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