第21回 株式会社 GSTV 蓮尾 駿太(Shunta Hasuo)氏
今回はテレビ放送システム 副調整スタジオでのKSD導入レビューです。
この度は取材をお受け頂きありがとうございます。
―皆さんにお聞きしていることなんですけど、蓮尾さんがエンジニアを目指した動機やきっかけなどありましたらお聞かせください。
蓮尾氏)元々は、音楽好きが高じてという感じです。音楽を聴いてる内に、どうやって作っているんだろうと気になりだして、クレジットを見るとエンジニアという職業があるんだと。
そこがきっかけですね。
―ありがとうございます。僕も同じ動機でこの業界に入りました。
KSDを知ったきっかけは何だったんでしょうか。
蓮尾氏)昨年、当社の本社移転プロジェクトに伴いTVスタジオを新設したのですが、その構想段階でスタジオイクイプメントさんのホームページを拝見して知りました。それまでは自分にとって全く知らないメーカーでした。
―モニタースピーカーの選定案件でデモ依頼を頂きましたね。最初はC5-Referenceをご希望で。
蓮尾氏)そうでしたね。サイズがコンパクトで見た目よりも低域がわかりやすいなあというのが第一印象でした。
弊社は通販番組をトーク主体で生放送するスタジオですので用途的に合わないのかと思っていましたが、中域もしっかり出ているのでミキシングし易かったです。
―そのデモの後に私の推薦でA200mk2をご試聴いただきました。いかがでしたか。
蓮尾氏)これはもうラージモニター感覚で素晴らしいと思いました。C5とは全く違ってレンジも広くとても余裕を感じました。
―今回の選定について他メーカーでいうとどんな機種を試聴されましたか。
蓮尾氏)Genelec 8341、ADAM Audio S2V、Amphion one 15、PSI Audio A17Mなどでした。
―みなさんの感想はいかがでしたか。
蓮尾氏)Genelecは旧社屋で8020Aを採用していた実績もあって、GLMによるキャリブレーション補正が好印象だったので実際すごく悩みましたね。しかしながらもちろん私以外のエンジニアの方々の意見も聞く中で最終的には、音のキャラクター的にKSDのほうが好みという意見が多数ありましたのでA200mk2となった次第です。
―ありがとうございます。蓮尾さんが個人的に好むスピーカーは?
蓮尾氏)Neumann KHシリーズは好きかもしれません。ADAMも好きで自宅ではA5Xを使っていますよ。
―蓮尾さんが今回のプロジェクトで注意した点、ニアフィールドモニターの選定にあたってモニタースピーカーに望む最低条件とか理想のようなものってありましたか。
蓮尾氏)はい、基本ですけど作業中に音の良し悪しを即座に判断できることを求めています。ここの作業は常に生放送ですので、エンジニアとしてはなるべくミックスバランスに集中すべきです。ですので今、何が起こっているのか、改善すべきポイントを即座に発見できて、すぐに対応できないといけないという事です。
―なるほどですね。生放送ですし。
蓮尾氏)そうなんですよね。何事もわかりやすくないと。
―A200mk2について気に入ったポイントは何でしたか。
蓮尾氏)C5もそうでしたが音量を下げても音のバランスが崩れないのが良いですね。ここでは数名のエンジニアがいますが私の場合、小音量でモニターしていますが、A200mk2は低域と高域がレンジが広いせいか、わかりづらいという印象がないです。
むしろ、モニターの音量を下げることでルームアコースティックの影響を少なくして、ダイレクトな音をモニタリングできています。これはとても良いことで作業的に助かっています。
―ありがとうございます。お薦めして良かったです。
蓮尾氏)あとデザインも気に入っています。見た目って実は結構大事な要素だと思います。
―採点方式って伝わりづらいかもですがあえてお聞きしますが満足度として何点を付けられますか。
蓮尾氏)はい、10点満点で9.5点です。あえて満点ではないのは自分が知らないだけで実はもっと良いスピーカーがあるかもしれませんので。
―ありがとうございます。
蓮尾氏)実際、使用感としては定位感と解像度は抜群に良いですね。リバーブの余韻も最後までしっかりと確認できます。ユニット構成のウーハーが10インチなので低域に余裕があってこれが良く作用していると思います。
―良さが出ていますね。
蓮尾氏)当社ではA200mk2をメインモニターとして、Neumann KH80 DSPをスモールスピーカーとして運用していますが、位置関係でいえばミッドフィールドとニアフィールドという感じですね。A200mk2を試聴した際にラージのようなイメージを受けたので結果導入するならこの構成だなと決めていました。
―ちなみにですが選定にあたりKSD以外に良い印象のモニタースピーカーはありましたか。
蓮尾氏)昨年のInterBeeでTOAさんが展示していたME-50FSというモデルが良かったですね。DSPに頼らずアナログであそこまで突き詰めているのは凄いなと。あとは今使っているNeumann KH80 DSPもバランスがとりやすくて非常に気に入っています。
―Neumannも評判良いですね。納得です。
蓮尾氏)KH80 DSPもA200mk2と同じくDSP処理が施されていますが、KSDとは全く違う印象ですね。
―といいますと。
蓮尾氏)KH80は補正がかかっていると認識できますが、A200mk2はDSPくささというか、その感じが全く分かりません。その違いが面白いなあって思います。
―よく言われますね。それがFIRTEC技術の賜物だと思います。
KSDを使用し始めて良かった点はありますか。メリットですね。
蓮尾氏)はい、これを導入前は音の細かいニュアンスがわからず、探っていても変化に気づかない事が多々ありました。でもこれを導入後は、ダメな部分はとことん悪く聴こえますし、EQやコンプの設定を少し変えただけでもその違いが分かるようになりました。
―それは大きいですね。
蓮尾氏)そもそもですけど、ピンマイクの装着位置が間違っていたりするとひどい音になるので、装着方法や位置を今までよりもよりシビアに考えるようになりました。日々、KSDから学んでいるといっても過言ではありません。
―最高の誉め言葉、ありがとうございます。逆に改善してほしことなどあれば。
蓮尾氏)今のところ、特にないですね。満足して使っています。
―今回スピーカースタンドに弊社製品でもある電動昇降式スピーカースタンド INST-1を導入いただきましたが使い勝手やメリットなどありますか。
蓮尾氏)微調整が効くのとリモコンで操作できるのが良いですね。実際にモニターしながら変えられるのは助かります。欲を言えば、高さの数値を確認できる機能があると嬉しいです。
―別売の有線リモコンで数値を確認できます。今度ご紹介いたします。
今回はありがとうございました。
<プロフィール>
蓮尾 駿太(Shunta Hasuo)氏
株式会社 GSTV メディア営業部TV技術課
入社後、主にスタジオ音声を担当
株式会社 GSTV
日本で唯一の宝石専門チャンネル「ジュエリー☆GSTV」を運営。
2022年3月、東京都品川区に本社と新TVスタジオを移転。